小沢一郎著「小沢主義 志を持て、日本人」
小沢代表の著書が発売され、話題を呼んでいます。早速、私も読みましたが、冒頭から「ドブ板選挙」こそ、民主主義の原点だと熱く説かれています。私も1年間、ドブ板選挙をやってそう思います。一方で、政策も政治家には重要な部分です。
落選中の候補者は政策スタッフまで雇うゆとりはありません。一方で、私自身は25年間、官僚や奥田経団連会長の政策スタッフとして政策を作る側にいましたし、今でも、中央大学の公共政策大学院で政策論を教えています。したがって、政策は最も得意な分野です。
ところが、候補者としてドブ板活動をしていると時間がいくらあっても足りません。人の情けを感じ、感謝の心を持ちながら、日々活動することは官僚時代にはなかったことです。人間修行と思い、小沢代表の言うように積極的にドブ板をやっています。
たとえば、真冬の朝立ちで街頭演説をしていますと、手袋をしない両手は10分もするとしびれてきます。かじかんだ指が自然と震えてくるのです。あるとき、見かねたのでしょうか、見ず知らずの中年の女性が温かいペットボトルのお茶を差し入れてくださいました。手がぬくもると同時に、その方のやさしいお気持ちに触れて、思わず涙が出てきました。役人時代には味わうことのできない経験です。その後、友人の紹介でご挨拶にうかがった保険代理店の奥さんが、お茶をくださった方と分かり、大感激。心からお礼を申し上げました。以来、ご主人共々すっかりお世話になっています。一人前の政治家になるためにはこのような経験の積み重ねが必要だと痛感します。
しかし、それだけでは、政策がお留守になってしまいます。そもそも、正確な情報を手に入れるだけの時間の余裕がないのです。党本部から送られてくる各種の政策パンフレットですらスミからスミまで目を通せない状況です。主な情報源は月に二回程度上京する際に、永田町や霞が関で耳学問をすることや、これまで付き合いの深かったいろんなシンクタンクの関係者から、各種レポートを無料でメール転送してもらうことです。
それでも、自分で政策提言を書くような、昔は本業としてやっていたことはなかなかできませんが、今は、一軒一軒の戸別訪問の方が、政治家岸本周平にはプラスだと割り切って、ドブ板選挙をやっています。