アメリカの国内政治情勢
ワシントンはあいにくの雨でしたが、今日も、研究所を回りました。
午前中は、カーネギー平和財団のジェームズ・ショフ上級研究員にお会いしました。安全保障の専門家で、国防総省の政策上級顧問もされていました。
国防総省では、日米韓の三か国の安全保障体制の推進に努力されていたそうですが、二国間よりも難しかったが、今後ともその可能性を追求していきたいとのこと。
お昼は、佐々江大使主催の昼食会。赴任後半年足らずとのことでしたが、アメリカの国内情勢をおうかがいできました。
その後、連邦議会調査局のマーク・マーニンアジア地域専門官、外交問題評議会のシーラ・スミス上級研究員との会談。
マニン専門官は北朝鮮の専門家でもあり、有意義な意見交換ができました。スミス研究員とは長年の付き合いなので、旧交を温めることができました。
(ホテルから見た商務省ビルとその背後の耐震工事中のワシントンモニュメント。)
この二日間で、佐々江大使のみならず、アメリカサイドからも、オバマ政権の課題について聴きましたので、ダイジェストします。
まずは、銃規制の問題です。昨年12月のコネチカット州での銃乱射事件を契機に大きな政策課題として浮上。オバマ大統領は攻撃的な銃の販売禁止や銃購入者の経歴チェック強化などの、私たち日本人からすれば当然すぎる提案をしました。
しかし、銃の製造業者や愛好家の猛烈な反対を受けて、与党の民主党が過半数を占める上院で先月否決されてしまいました。
オバマ大統領は、その否決の日を「恥ずべき日」と批難しましたが、これ以上の進展は見られないとのこと。不思議な国です。
二つ目は、移民制度改革です。今年の一般教書演説で、オバマ大統領は、国境警備の強化に合わせ、市民権獲得のための責任ある方法や、合法的な移民制度の改革など包括的な改革の必要性を訴えました。
納税などを要件として、不法移民でも何年か住んでいて、犯罪歴のない者には市民権を与えることを模索しています。
不法移民は潜在的に民主党支持に回る可能性が高く、政治的な思惑もありそうですが、今後、ヒスパニック系やアジア系の人口比率の増加を考えると、共和党サイドも無下にはできず、何らかの妥協の余地はありそうとの見方もありました。
三つ目の財政再建は、歳出カットの共和党と、減税廃止の民主党がにらみあっています。3月26日には、総額1兆ドルの強制的歳出削減措置を残したまま、2013年度の暫定予算延長法が成立しています。お互いに歩み寄って妥協するしかないのですが、「財政の壁」問題はなお余談を許しません。