準天頂衛星システムのスタート
宇宙基本法という法律があります。
平成20年に、超党派の議員連盟を中心に議員立法でつくられました。
今、各府省庁にまたがっているバラバラの宇宙関係の政策を一本化し、効率化するために、「宇宙庁」をつくることや宇宙開発のステージを「研究」から「利用」に格上げすることが目標です。
宇宙基本法の附則により、法律の施行後1年を目処として、宇宙開発戦略本部に関する事務を内閣府に行わせるための法律改正が義務付けられています。
平成21年には、同法を基に、宇宙基本計画も作成されましたが、「宇宙庁」はまだできていません。明らかな法律違反の状況が続いています。
現在、宇宙基本法フォローアップ議員協議会という超党派の議員連盟があります。代表は自民党の河村健夫先生と民主党の樽床伸二幹事長代行。私は事務局長を務めています。
地道な活動を続けてきた結果、大きな成果を上げることができました。
これまでの宇宙開発は文部科学省を中心とした、学術研究の範囲にとどまっていましたが、これを「利用」の観点から、宇宙産業を育てるように変更することが宇宙基本法の目的です。
そこで、日本版GPSとも言われる「準天頂衛星システム」を実用化するが悲願でした。今回、アメリカが提供しているGPSを補完し、精度と信頼性を高めるために必要な4基の準天頂衛星の打上げが閣議決定されました。
さらに、アメリカの助けがなくとも、自力で日本上空及びアジアオセアニア地域をカバーできる日本版GPSの運用に必要な7基体制を将来的に目指すことも閣議決定。
そして、日本版GPSの運用主体であり、かつ日本の宇宙政策の司令塔として内閣府に権限と事務体制を与えることも合わせて、閣議決定しました。
すべての宇宙政策を「宇宙庁」に集約するには至っていませんが、その第一歩として、大きな成果です。
これで、各府省庁バラバラの非効率な予算運用にくさびを打ち込むことが可能になりました。宇宙基本法の附則に違反する状態からも脱することにもなります。
4基の衛星を飛ばせば、GPSの測位可能な時間が今の90%から99.8%になります。また、今10メートル程度の精度が1メートルから数センチ単位まで、飛躍的に伸びます。
また、災害時の情報提供や安否確認が準天頂衛星経由で行われるようになり、今回の東日本大震災のように携帯電話の地上波が使えなくなっても大丈夫です。
また、アジアオセアニア地域には日本版GPSのサービスを提供することも可能になり、安全保障上も外交上も日本のプレゼンスが大きくなります。
今回も、NPO法改正の時と同じく、超党派の議員連盟によって、大きな政策転換ができました。ともに、事務局を任され、大任を果たせたのも党派を超えた先輩議員の皆さんのお力添えでした。心から感謝申し上げます。
私たちのために。
私たちの子供たちのために。
私たちの大切な人のために・・・。
信じられない政治に終止符を打つ。
そして、信じられる政治を創るために。