TPP交渉の行方@ワシントンD.C.

(ワシントンのシンクタンク CSIS:戦略国際問題研究所)

 TPPの動向に関して、ワシントン滞在中に、国会議員同士の情報交換に加え、旧知のシンクタンクの研究者や国務省などの関係者などにも取材しました。

 まず、オバマ大統領に対して貿易促進の権限を与えるTPA法案の行方に関しては、見方が大きく割れていました。

 TPA法案は、一昔前にはファースト・トラック法案と呼ばれました。米国憲法上、貿易交渉の権限は議会にも与えられていますので、政府間の取り決めについて、いちいち議会で修正していると交渉が複雑になります。

 そこで、交渉権を一括して大統領に与え、議会は、その内容に賛成か反対かの意思表明だけをするというのがファースト・トラックの意味です。

 最近では、米韓FTA交渉の際に、TPA法案が成立しています。

 今回、TPA法案は既に、上院の財政委員会と下院の歳入委員会で可決されています。

 オバマ大統領はTPAを歴史的な業績にするために努力していますが、足元の民主党は、従来から自由貿易には反対の立場です。一方、共和党は伝統的に自由貿易推進が党是です。

 今回も、その意味ではねじれており、共和党が賛成、民主党が反対の立場です。上下院の委員会でも、共和党議員は全員賛成、民主党議員は上院で7人が賛成、下院では2人だけが賛成。

 議会筋の票読みでは、下院でTPA法案が可決されるためには、共和党の一定の賛成を前提に、民主党の賛成票が12~17必要だが、どうも難しいのではないかと言われていました。

 国務省筋では、もう少し楽観的な見通しをしていました。

 巷間流布されている票読み自体が、議会対大統領府の駆け引きの道具かもしれませんので、何とも言えません。ただし、TPAが通らなければ、交渉の最終決定は難かしくなります。

 その一方で、TPP交渉の方は、着々と進んでいます。

 国家安全保障会議のアトキンソン次席補佐官によれば、米国産のコメの輸入枠と日本製自動車部品の関税撤廃問題以外は、日米二国間協議がまとまっているようです。

 TPAによる権限が大統領に与えられれば、お互いに最後のカードが出せるわけですから、交渉妥結のタイミングも遠くないと思われます。

 ただし、日本の側からすれば、農産物に関しては、衆参の農水委員会での決議があり、コメ、豚肉、牛肉など重要5品目に関しては、大幅な妥協は許されません。

 しかし、米国の議員は一定の守秘義務の中で、TPP交渉の情報が得られますが、日本の国会はそうなっていません。

(「TPP等通商交渉情報公開法案」を国会に提出した後の記者会見の模様)

 そのため、ネクスト農水大臣として、連休前に維新の党と協同提案で、TPPなど重要な通商交渉における情報公開法案を提出しました。

 内閣府が、米国並みの情報公開について前向きに検討を始めるというコメントを、今日発表したことは評価できます。

 連休明けに、その検討状況の内容とスピードに関してチェックします。

 今月末の23日、24日の開催されるAPEC貿易相会議の場で、TPP閣僚会議が開催され、基本合意がなされる可能性もあります。

 国益をかけて行われるTPPの交渉に関して、国民の皆さんとできる限り情報を共有して、立法府としてきちんとした対応ができるよう努力します。