アベノミクスによって、日本経済はどうなってしまったのか?

 アベノミクスの評価に関しては、これまでも述べてきたが、第一の矢はコスト先送りの異次元の金融緩和政策であり、第二の矢は需要先食いの財政のばらまき政策です。

 どちらも、第三の矢の成長戦略のための時間稼ぎの政策です。しかし、経済成長率のトレンドが上向くような状況には至っていません。

 経済の先行きは不透明なままですし、昨年の経済成長は第二の矢の公共投資のばらまき政策によるものでした。円安にもかかわらず、輸出は伸びませんでしたし、物価上昇による実質賃金のマイナスにより消費は冷え込んでいます。企業の設備投資も出てきません。

 日本経済の潜在成長率は、現在0.3%程度と推計されています。80年には5%、90年でも4%あったものが、95年には1.5%、2000年に1%とつるべ落としで落ちてきました。

 その背景には、生産年齢人口の減少があります。足元の労働投入量はマイナス0.6%です。労働投入量が減っても、TFP(全要素生産性)や資本投入量が増えれば潜在成長率は上がります。

 しかし、民間投資から減価償却を引いた民間準資本ストックは2008年からずーとマイナスです。

 民間準資本投資をまかなう国民純貯蓄が2009年度以降、これまたずーとマイナス近辺で、もはや日本は富を積む国ではなく、国富を費消する経済になっているからです。

 その原因は、社会保障予算による政府の赤字です。

 金融緩和や財政のバラマキでは、解決できない問題なのです。

 まずは、社会保障分野のスリム化を行った上で、第三の矢の規制改革による魅力的な投資先をつくることしか解決策はありません。

 その一方で、潜在成長率が0近辺なのに、財政のバラマキで、昨年度は2.3%の成長でしたから、既に完全雇用の状況です。完全雇用下の財政・金融政策発動もナンセンスです。

 今回のクラウデイングアウトは、おカネの面ではなく、公共投資による建設労働者不足や資材の高騰で民間の建設投資を抑制する形で現れています。

 また、円安で、輸入物価が上昇し、家計部門の実質購買力を抑制し、消費を冷え込ませています。

 株価が上がっても、日本の個人金融資産はほとんどが預貯金や生命保険ですから、国民の生活実感は良くなり得ません。

 異次元の日銀の金融緩和策の出口戦略の難しさを考えても、アベノミクスを続けることの危険性は言わずもがなではないでしょうか
 
 このような議論を、経済産業委員会で宮澤洋一経産大臣とさせていただきました。